小説の感想・真夜中は旦にゃ様
うちの旦にゃ様は一日中同じ姿である。
お腹が空くとゴロゴロ言いながらすり寄ってきて、まったりしているところをこちらがじっと見ていると何見てんだよ!という非難の響きのあるふにゃあという鳴き声を立て、高いところに飛び乗ろうという時は掛け声なのかふるる!という声を出す。
でも本当の旦那様が猫だったら?というのは面白いなと思って読んでみた。
ちょっとネタバレありです。
お話はちょっとミステリアスに始まる。
子供の頃から決められた結婚相手がもう何年も姿を見せなくなっていたり、どこでどうしているかわからかなかったり、そしていきなり婚約解消の書面が来たり。
それにめげないで、というかこれじゃあ諦めようもない、ということで立ち上がった少女が母を訪ねて、じゃなくて婚約者を訪ねて旅を始める。
あちこち彷徨うのかなあと思ったら案外早めに見つかった。
理由は案外実際的なもので、年頃の青年にはかなり辛いであろうと思われる。まあ少女の側からしてもそうだと思うけど。
でもいつまでも隠しておけるはずもなく、真相は時期にバレてしまった。
そこからお話は問題の解決法を探すことに移り、途中感動の涙が出てしまう切ないお話があって、それが終わったと思ったらいきなり意外な人物が二人の前に登場したのであった。
そしてそのことから探していた問題の解決法も見つかる。
この辺の展開はちょっと疑問というか、なぜあの二人が、具体的にはどうやってきたのか、あんまり強い理由付けがなかったような気がする。それからいきなり問題を解決できそうな人がさらっと現れたことや、案外簡単な解決法だったということも。
もっとも、それは後になってみると実はそうではなかった、というオチがあったので、この作品がもっと長く深く掘り下げて続けられる可能性が見えてそれはそれで良かった。実際に次作も出ている。
せっかくの謎物語なのだから、いくらキーパーソンが出てきたからってひょっこりこれどうぞ!みたいなことで解決しちゃったらなんか肩透かしである。イスカンダルまで旅しろ、とは言わないまでも、もう少しいろいろあった方が物語としては面白いわけで。
もう一つ疑問に思ったのは題名である。真夜中ってどういうことかがわからなかった。旦にゃ様はわかったけれどもあれって真夜中関係なくないかな?と思うのだが。
次作でその理由がわかるのかもしれない。
事情が事情だけに、恋愛性要素は形式的にしかなかったのが他の女性向けラノベを読み過ぎたおばさんにはちょっと物足りなかったけれど、青年はかなり辛そうにしていたので問題が解決するまでは待ってあげようと思った。