きぬかつぎ

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小説の感想・奇奇奇譚編集部 幽霊取材は命がけ(2作目)と怪鳥の丘(3作目)

このシリーズは意外だった。普段なら読み終わってすぐ率直な感想を書き出せるのだけど、予想外だったので感想をしばらく考えてしまったくらいである。

ちょっとネタバレありです。

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最初の作品である「ホラー作家はおばけが怖い」は視える青年が作品のネタにするために編集者に引っ張りまわされて怖いのにあれこれ体験してしまう話の連続かなと思った。もちろんそこに至った話なども出てきてそれはそれで良かったのだけれど。

2作目もそんな調子かと思っていたらだんだん雲行きが怪しくなってきた。

ある家を訪れた時、そこはお化け屋敷というより精神世界へと入る箱だったのである。もちろん恐ろしいタイプのやつである。あっこれ入っちゃいけないヤツだ、という。

幽霊という言葉にばかり気を取られていたので、恨めしやとかそんな感情とは全く別の次元のテーマには驚いた。

そして3作目で、それがこの作品のメインテーマだったことに初めて気付いてしまった。何だそうだったのか、と。

そればかりか今度は主人公が事件や事象の観察者ではなく中心になる。その経緯は読んでいくうちに何となく既視感を覚えてくるもので、あれ、こういうのって、と思っていたら。

読み終えた後の参考書籍リストを見てものすごく納得してしまった。H.P.L.だった。さらっと心霊現象ものを書いているように見せかけてなかなか面白い展開にしてくれたじゃないか、と思った。