きぬかつぎ

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マンガの感想・となりの妖怪さん 2

1巻目でぶちおが可愛くて感動してボロボロ泣いて何度も読み返したのにまた通勤電車の中で初読みしてしまった私。

ちょうど2巻目が出る直前に見つけたので1巻目の感動が冷めきらぬうちに続きを読むことができた。

ちょっとネタバレありです。

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前巻を読んだとき実はぶちおの可愛さの目が眩んで深く考えていなかったのだが、この作品は単なる妖怪ものではない。

ここでは人間と妖怪、神がごく普通に一緒に暮らしている。それはどこの土地でも同じらしく、ぶちおが山本さんのところに電車に乗って一人で行っても誰も気にしない。妖怪の社会保障制度のようなものもあるらしいし、学校でもみんな一緒に勉強しているし、異類婚も普通らしい。

で、最初それはそういうファンタジー設定の独立した世界なのかと思っていた。妖怪と人間が当たり前に同等に暮らせる世界で、どんな人や妖怪でもみんな同じように悩んだりしながら生きてる、というお話なのかと。むーちゃんの父親がどこに行ったか、というのは少し気になったけど、ちょうどお盆の頃の話と重なったせいで、私はてっきりファンタジー的な神隠しなのかなと思っていた。

しかもちょうど昔話風の白蛇の悲しい話なんかも出てきて、これは純粋に我々の世界と無関係な設定だな、と思ったのだ。

ところが。2巻目に入ってみるとどうもそれは早とちりらしいとわかった。ここは相変わらずぶちおは可愛いし百合さんは相変わらずちょっと面倒臭い化け狐だし、ジローさんも別の意味で面倒臭い天狗だけども、妖怪や神と共存していない我々の世界と並行して存在する、パラレルワールドの一つらしいのである。こうなるとファンタジーというよりSFという感じである。出てくるのが半分は妖怪なので、SF的設定が新鮮に見えてなかなかよろしい。同じ人外設定でも宇宙人とかゲームキャラだというなら逆に新鮮味はないのだが、昔話に出てくるような化け狐が異世界トリップ、だとちょっと違う。

この二つの世界の関わりがどうなっているのか気になる。

でもそればかりではなく、真面目でちょっと泣き虫ですごく可愛いぶちおの普段の生活ももっと見たい。今回は坂木さんとサシで話す機会があって、最初からフラグが立っていたのにすごく感動してしまった。百合さんとはなかなか上手く仲良くできないながら、それを避けようとしないで真面目に向き合おうとするのも良かった。そしてもちろんそんなぶちおをさりげなく支えている家族とのやりとりも毎回感動する。百合さんは今回かなりフィーチャーされていて、なぜ屈折して面倒臭い狐なのかが明らかになった。私は猫ばばあなのでその辺はそうねそうね、で読んでしまったけど、公平に見ればよくできた話だったと思う。いい話といえば他にも新たに出てきた人物のある決意の経緯が、最初と最後に出てきて上手く配置されているな、と思った。

電子版ではおまけ漫画も付いていて、今回の化け学のレッスンはぶちおがまたものすごく可愛いかった。猫ならなんでもいいわけではないと思いたいのだけど、猫だと余計に楽しめることは確かかな、と思う。