きぬかつぎ

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小説の感想・奇奇奇譚編集部・ホラー作家はおばけが怖い

朝からの強風も少しずつおさまってきた。去年リノベして窓を新しくしたので強風の時の音はかなりカットされるようになったのだが、家が新しくなったわけではないので多少の隙間風は避けられない。今日のような風の強い日は木綿の厚めの生地のカーテンでも少し揺れる。

夜はどこにいても怖いけど、この家は昼間でも結構ホラーを読むいい雰囲気を勝手に醸し出してくれる。

カーテンの揺れを気にしつつ、初めて読む作家さんの最初の作品を読んだ。

ちょっとネタバレありです。

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タイトルイコール基本設定、という割とストレートな作品だが、それ以外は割と私の予想を裏切る展開と結末だった。

幽霊といえば普通は生きていた人や動物がどうにも成仏できなくてなってしまうもの。

この作品でもてっきりそういうものだろうとずっと思って読み進めていた。

ところが、本来なら途中から少しずつ明かされるべき正体がどうもよくわからない。

もしかしたら登場人物のうちの1人が妖か憑かれているかでその能力によるものか、と思えばそうでもない。

しかもいくつか出てくる見えざるものたちの反応もどことなく不自然である。

うーんこれは一体、と思いながら読んでいくと意外な理由がわかった。

得体の知れないものが怖いのであれば実際はそれが何であっても構わないはず、という発想が私には目新しかった。

昔ラヴクラフトを読んだ時とちょっとだけ似たような感覚だ。あくまでちょっとだけ、だが。それは既存の伝説や歴史に頼らずに自分で自分なりのオヤクソクを作っているからだろうと思う。

2話目の結末もそういう意味で私にはかなり斬新だった。へえ、こういう風にこういうものを描いちゃうのか、と軽い驚きがあった。1話目を読んだすぐ後だったから多少の心の準備はできていたけれども。

設定や題材云々とは別にホラーとしての怖さの方はというと、どちらの話も怖いシーンの描写は心地よいくらいの不気味さで引き込まれるのが楽しかった。

この後2冊目、3冊目と出ているようなのだが、果たして本作のような路線で行くのか、はたまた王道のモチーフも使うのか、読んでみたくなった。