きぬかつぎ

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ラノベの感想・御堂学院の神使官

爽やかな美少年たちの表紙絵につられて読んでしまったシリーズ。3冊で一応完結になっている。

ちょっとネタバレありです。

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一見学園もので男子高校生同士の青い友情(何を言ってるんだ私は)が寮内で密かに育まれるシリーズなのかと思っていた。

神使官て題名にちゃんと書いてあるんだけど学院とか付いてるし、何しろ表紙が。

内容は表紙の爽やかさとは全然違った。

主人公は由緒ある家系の神使の従兄弟で、親が外国に行くというので全寮制の学校に行くことになった。神使の従兄弟とはそこで久々に再会する。この辺はどことなく東京レイヴンズを思い出した。主人公は特に霊能者というわけでもなく、一族のこともあまり知らないが、神使の従兄弟の方はお役目に誇りを持って挑んでいる、というあたりがちょっと似ていると思った。

が、話が進んでいくと方向性がちょっと変わってくる。最初の巻は十五の神隠しというタイトルなだけに神隠しが出てくるのだが、その実態はなかなかおどろおどろしいものだった。

いろんなことに疎い主人公だが、その分純粋な心を持っているので、なんだかわかんねーけど放っておけない、ということで果敢にも神隠しにあった同級生を救おうとする。こういうキャラの性格もちょっと春虎っぽい感じだ。そして彼の隠れた能力や性格に密かに嫉妬してしまう従兄弟くんも夏目にちょっと重なる。

とはいえ、神隠しは結構怖いし(特に窓のシーン。こういうのは夜想像すると怖い)、解決はしたけれどあんまり救いがない結末だった。事件は神隠し解決以降もあり、それぞれがおどろおどろ系でやっぱり救いがないとは思ったが、私としては一番最初のが一番ゾッとした。

そして神隠し事件の時に知ってしまった同学のある人物と、神使の家系二人組との戦いが以降繰り広げられる。二対一でも実は主人公くんたちの方が劣勢だ。

なのだけど、いろんなピンチを謎に救ってくれる大人が現れる。最初は敵なのか味方なのかわからなかったけど、そのうちその人は学園の誰もを超越した存在で、且つ主人公くんをかなり好きみたいなのである。彼のおかげだけではないにしろ、この助けがなかったらきっと敵に勝てなかっただろう。

その人の、主人公くんに対する扱いがまたなかなか艶かしくてよろしかった。さりげなく助けの手を述べるだけでなく、結構愛しんでいる感じが、単なる肩入れ以上でよろしいのである。最後の方では本音で自分だけを見て欲しい、みたいなことを言っているのもよろしかった。

いろんな事件が起こったけれど、裏の事情の説明などをあまりはしょることなく、程よくメリハリをつけて3冊でまとめた作品だったと思う。主人公を助けていた人物の正体と彼がこの学園にいた理由は比較的サラッと流されてしまったのが少し残念だったが。もし続編が出るようであればその辺も含めて続きが読みたいなと思う。