きぬかつぎ

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ラノベの感想・幽霊弁護士・桜沢結人の事件ファイル

表紙絵の爽やかさがタイトルとミスマッチなところが気になって読んでみた作品。

ちょっとネタバレありです。

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最近はいろんなジャンルを狭く深く掘り下げて取り入れている作品が結構ある気がするのだが、これは法曹の世界を取り上げてみた作品。私は法曹ではないから実現度は計れないけれど、こういう感じなのかな、というところを楽しめた。

でも話の方はちょっと切なくて、主人公とは特に親しくもなかったはずの同学の青年のトラブルに無理やり巻き込まれ、最初は嫌々ながら協力し、次第にのめり込んでしまうという展開だった。少し堅物で不器用な主人公が、案外おばあちゃん子みたいな感じのところがまた可愛げでもある。

いろんな作品に異世界設定が登場すれど、これは異世界ではなくてあの世が二つ目の舞台になる。そこと行き来する人たちの意外な顔ぶれと、主人公が巻き込まれた事件の背後に見えてくる意外な後ろ盾が、なかなか良いスパイスだな、と思った。この世とあの世が背中合わせになっているように、この世の組織と同じようなものがあの世にもあり、そしてこの世の人間が(元この世の人間であるか現この世の人間であるかを問わず)あの世でも大体似たようなことをやっていたりする、というところがまた面白いと思った。

友人の妹が出てきた時点でこれはもしかして不器用くんにもチャンスが?と思ったがどうやらそれはなかったらしい。むしろこの作品は主人公と友人・後輩・敵のようで実は協力者の3人とのつながりの方が濃く描かれている。そしてこういうパターンもおばさんは嫌いではない。

今のところ2巻まであり、最初は主人公を巻き込んだ青年の話が、そして2巻目では1巻目では割と悪役的なポジションだった人物の悲しい話が事件の中で出てくる。それぞれがまったく違うのだが、どちらも主人公の生真面目な対応に救われていく。

そしてどうやら次は主人公自身が事件の主体になりそうな予感がして2巻目が終わっている。敵のように見えて実は結構味方な人物の過去も訳ありに浮上してきて、これからどうなるの?というところだ。

続刊がそれ以降出ていないのが気になる。ぜひ続きが読みたいと思う。