きぬかつぎ

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小説の感想・准教授・高槻彰良の考察 4 そして異界の扉がひらく

今日は今週2回目の新刊配信日。

入荷した2冊のうち最初に開いたのはこの作品だった。

ちょっとネタバレありです。

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本巻では遂に?今まで話にしか出てこなかった先生の叔父様が登場する。

健ちゃんもなかなか濃いキャラだけど叔父様は年季の入った濃いキャラのようである。マンガ動物のお医者さんに出てきた英国紳士風教授を思い出したおばさんであった。

そして最初の章は私も昔かなり真剣に気にしたネタだった。懐かしかった。

私が聞いたのはその時刻に壁に背を付けて座っていると異界に行ってしまうとかいうもの。他には誰も出てこないので幾分変形しているみたいだが、要旨は大体同じだ。そんなことあるわけないだろ、と思いつつもその瞬間はやっぱり不気味だったのを覚えている。

それでも、これまでの例に漏れず持ち込まれた話の裏は結局のところ怪異ではなかった。でも単なる醜い感情のみならず、それを自分の守りたいもののために利用した人まで出て、話がちょっとややこしく、しかもエスカレートした・・だけのはずだったが。

今回は種明かしの後にさらに別の驚くべき事実が明らかになった。メガネ君に関することで、こっちは科学では説明できないというやつだ。しかも、メガネ君が昔体験したことは結構根が深いらしいこともわかった。

今後根っこの方がどうなっているのか解明されるのだろう。先生じゃないけど期待で目がキラキラしそうである。

第二章目は一旦全く別のお話になる(そこはちょっと残念)。

トイレの花子さんとかこっくりさん、本巻第一章の話とはまたちょっと違うけど、やはり昔から有名なアレである。

そして今度こそはどうやら怪異に見えて人間の仕業ではなかったんじゃなかろうか?ということがわかる。

 

一応表面的な結末としてはやはり人間の仕業だということになるのだけれど、その後知ってしまったある事実から、怪異に見えるように人間が細工したようでいて、実は本当に怪異だったんじゃないかということになるのだ。

この第二章の終わりの方は私には昔懐かしい土地を舞台にしていることもあり、雰囲気も含めて十二分に味わえた。

そのあとは結構長いエクストラの章が続く。先生がどんな風にイギリスで暮らしていたかが、やはりちょっとした怪異のような事件とともに紹介される。

私だったらこんな暮らしなら捨てて帰国したりしないけどなあ、と個人的には思ってしまったけれど、そこはまあ、凡人と選ばれた者の差なんだろう。

ちなみにお父さんはいつも悪役っぽく書かれているけれど、この章を読んで、本当は結構苦悩して不器用ながら息子を応援する方法を考えているんじゃないか?という気がした。