きぬかつぎ

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ここ数日で読んだ小説の感想まとめ

ここ数日で読んだ小説をまとめた。

ちょっとネタバレありです。

  • 考古探偵一法師全シリーズ (葬神記、鬼神曲、偽神譜、火神録)
  • 新宿陰陽師
  • 猫乃木さんのあやかし事情
  • 猫と透さん、拾いました

読んだ順に並べたのだけど、同時に面白かった順でもあると思う。たまに再読してあ、これも面白かったなと感想が変わることもあるのでとりあえず最初の印象がよかった順である。

考古探偵一法師全シリーズ

一法師全シリーズは全がちょっと慣れないというか、4冊読んでもどうもしっくりこない。単なるツンデレなんだろうけど、ストーリーの中で彼の人間像が私個人的に「こういう人だ」という風にうまく一つにまとまらない。でも彼を取り巻く人たちがなかなか魅力的で読んでいて面白かった。割とアクションが多くて展開が早いので、あれよあれよという間にいろんなことが起きてしまいには一応収束する。しかしそれは毎回一時の休憩みたいなもので、一冊終わるごとに次への序曲になっているという仕組みである。特に面白いなと思ったのは作品の構成である。1作目は割と普通の探偵物だと思ったのが、2作目は探偵不在(タイトルにもあるけど)で物語が進行し、3作目はまたがらっと手法を変えて2作目のストーリーに並行して起こっていた他の事件が描かれ最後に2作目と合流したこと、そして4作目は話が先に進むのではなく昔に起こったことに戻って1作目の事件の大元を明らかにするための布石にしている。毎回材料を変えて同じ手法ではなく、毎回全く違ったコンセプトで一つのストーリーが進んでいっているわけだ。次回は一体どんな手段で読者を驚かせてくれるのか楽しみである。

新宿陰陽師

同じくツンデレなのか、それともヤンデレなのかという青年が出てくるお話。

新宿というからどんなのかなあとそこについ釣られてしまった。

陰陽師ということで九字とか札とか一応登場するのだけど、印象としてはハンバーグプレートに乗ってるグリンピースと人参みたいな感じだった。メインは人間の心の澱から生じるどろどろした怪異で、どでかい事件にはならないが結構怖い。一人暮らししてる時に読まなくてよかったーと思った。

猫乃木さんのあやかし事情

猫が出てくると脳内で何かシグナルが出るらしく、またも釣られてしまった。

ほんわかなタイトルとほんわかな女の子と静かなイケメン青年に猫たち、という素晴らしい材料の作品である。

話の方は超少女マンガ展開で、真っ直ぐな性格の純情な女の子があやかしたちの存在を受け入れ自分なりの付き合い方をし、そしていつしか青年と心が一つになる、という、自分で書いていてもみぞおちがムズムズする(風呂には毎日入ってるけど)甘いお話である。女の子が純粋なあまり無茶していろいろやらかすところは別の意味でムズムズするけれど、それでもお互いに惹かれていくところがまた甘い。

イケメン青年は案の定単なる霊能者ではなく、LPが激減すると猫になってしまう。女の子は純情なのでそんな彼も素直に受け止めるわけだが、私のような猫ババアだったら青年は青年として愛で、猫は猫としてまた愛でられて2 in 1のシャンプーみたいに便利ではないか、などと思ってしまうのであった。

もちろんそれ故に青年は人間とは結ばれてはいけないと思うのであるが、女の子の押しに負けたというか、自分の中の感情にも負けたというか、最後には思いが同じだと認めるのである。

個人的にはこれを読んで我が家に猫がもっと増えてもいいのでは、などと思ってしまった。そこいら中に猫たちが転がって遊んでいたらまさにパラダイスであろう。

猫と透さん、拾いました

こちらは少女マンガからちょっと成長した女性と青年と猫のお話。

タイトル通りある日泥酔した女性が猫1匹を拾ったつもりで気付いたらイケメン青年もついてきていたという幸運なお話である。

イケメン青年は何と都合のいいことに家事炊事に長けているばかりか生活費を前払いしてくれて持ち金もちゃんとあるらしいという素晴らしい条件持ちである。そして一つ屋根の下に暮らし続けるという状況の中でも、堅苦しくない程度に距離を置いてくれ、しかし必要な時には必ず助け船を出してくれる。

そればかりではない。女性があれこれ悩んだりトラブルに巻き込まれたりするとかなりいろんな知識とか知恵を出してくれるという頭脳明晰な万能男子でもある。

これの前に超少女マンガなストーリーを読んだこともあり、この物語でも最後には二人の仲がほんの少しでも進展するのかな、と期待していたのだが、どうやらそうではなかったらしい。少女マンガ脳にとっては不服な結末だった。この温かい時間ができるだけ長く続けばいい、でもいつかはこの青年も猫もいなくなる、ということを女性が何度も頭に叩き込んでいるのがなんか納得できない。青年が紳士に振る舞っている、つまり女性の方に一歩踏み込んでこようとしないからそう思うのだということらしいが、最後の方では彼が彼女のバイト先の店長に嫉妬しているらしいことがしっかり書かれている。それなのにエピローグでこれが長くは続かないことだとわかっている、というのは理解に苦しむ。この章はない方がよかった気がする。しかし世の中にはアンハッピーエンドを好む人、切ないハッピーエンドを好む人、などなどもいるからそういう人には向いているかもしれない。私なんかは現実の不幸や不運だけで傷つくのはもう十分だ。なのでこれの続編が出ても読んだら心がえぐられる予感しかしないので、この作品は第5話で終わったことにする。

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