きぬかつぎ

マンガ、小説、アニメ、ゲーム、音楽、酒、食、旅、仮想通貨取引や猫と日常生活のこと。

小説の感想・三瀬川さんの冥界カウンセリング

ちょっと変わった題名に惹かれて読んだ作品。

ちょっとネタバレありです。

f:id:kinu-katsugi:20200129161020j:image

冥界の写真は流石にないので闇の中から覗く生き物の写真をアップ。

この作品は会社員の精神を抉るような描写の連続から始まる。

具体的には主人公女子の後輩の女の子の態度だ。

シリアスに参ってたら最初のところで読むのをやめていたと思う。私にも似たような輩がいたからだ。私の場合は見栄じゃなくて上司が申し訳ないがもうしばらく我慢してくれ、と頼んできたので逃げられず。

幸い私はここまでにならずに無事この世にいるけれど、参ってる時期だったらこっちも突っ伏していたに違いない。

とはいうものの、作品自体は多少ブラックだが笑えるお話である。さりげない下ネタの度合いはこっちの方がちょっと多め。

読む人の多くがきっとアニメにもなっているマンガ作品で白い犬とか出てくるアレを思い浮かべるのではないかと思う。私も始終あのバリトンヴォイスが頭から離れなかった。

こちらの方は優男系の偉くもない鬼さんが出てくるが、カウンセリングの対象になる地獄の種類は結構被っている。でもまあこの辺りが日本では有名な?地獄でもあるから避けては通れないといったところか。

主人公は没後ある事情により止むを得ずストレスの溜まった獄卒のためのカウンセリングを手伝う羽目になる。といっても期間限定で所定の金額が貯まるまでの住み込みの短期バイトである。

そこで主人公はいろんな地獄、いろんな獄卒、そしていろんな亡者に会い、いつの間にか生前から抱えていた個人的な問題に向き合うようになっていく。

最後の方は意外にも全面的なハッピーエンドではない。最初の方はかなりの割合で主人公視点で描かれていたのが、最後の方はいつの間にか主人公を雇っていた鬼の男の視点に変わっていた。実は問題を抱えていたのは主人公だけじゃなかったらしい。それで主人公はそれなりに吹っ切れてハッピーになれたらしいが、残されたこちらはちょっと寂しい、という終わりだった。

ロジカルな終わりで結局一番辛かった主人公は救われたのだろうけど、個人的にはちょっと無理してもいいから2人一緒のハッピーエンドが良かったなあと思った。

仕事や学校生活で特に人間関係のストレスが目下MAXな人にはオススメすることが憚られるが、既に峠を越えた人、仕事はきついが人には恵まれているような人なら読んで面白いと思う。