きぬかつぎ

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小説の感想・夜見師 1-2

表紙のイケメンにつられて手に取ってしまった作品。

しかし内容は思ったよりずっとヘビーで且つ熱かった。

ちょっとネタバレありです。

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古の呪いのために先が短い青年が家政夫の仕事を紹介された。その仕事場とは普通の家ではなかった、というお話。

設定自体はよくある感じでさらっと読めそうな気がしたのだが、いざ一話ずつ読んでみるとかなり暗かった。何しろ悪霊と化してしまった人たちを「始末」して行くのである。

悪霊と言うと何だか生まれた時から凶悪で手の施しようのない人間がなるべきもの、みたいなイメージがありがちである。でも実際は有名な学問の神様のように非常に辛い思いをした結果ということもありがちなのだろう。

この作品を読み進めるにはその成り立ちをいちいち読んでいかないといけない。それが結構重かった。毎話いろんな形の苦しみを辿らねばならない。そしてとどめには大学の先生のゴミ屋敷のおぞましい光景の描写にも耐えねばならない。いろんな意味で苦行の連続であった。

それでもついつい読み進め、2巻まで読んでしまったのは、ひとえに主人公青年が呪いから解放されたこと、そして彼のイケメンなご主人との何かちょっと熱い関係のせいだと思う。メイドとご主人様ならぬ召使いとご主人様というのであろうか?名称はわからないが2人が割と早いうちから他の誰とも違う深く熱い(心の)絆で結ばれたのも良かったし、後から現れた小癪なガキンチョ(古語)には入る隙を与えなかったのも私好みの展開であった。青年のグイグイとした押し方がちょっとこっぱずかしくもあるのだが、それをウワーと言いながら読むのは楽しいものであった。イケメンご主人様は物理的に腐りやすい体質?なのだけど、この作品では読者の方が精神的に腐ってしまうのである。

箱を全部始末したらきちんと世を去りたいと思っていたご主人様であるが、こんな大事な召使いができたのだから、おそらく許す限りそばにいたいという気持ちに変わったことだろう。何だか本筋とは全く関係ないことだけども。