きぬかつぎ

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ラノベの感想・夜見坂少年の怪しい副業 2と怪しい休日

遂に2冊を読了した。

ちょっとネタバレありです。

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いきなりだが、このシリーズでは期待していなかった猫が出てきて最後に好感度が増量してしまった。最初に読んだ副業の2巻目ではなくて休日の方である。

内容の方はというと、副業の2の方は出てきたお話は二つだった。

一つ目はタイトルの副題にあった神隠しの話で、割とオーソドックスな展開と結末だった。どちらかというと事件そのものより主人公君と、彼とすっかり友人になってしまった学生君の触れ合い?の方がメインだった気がする。そしてそれを歓迎する主人公君の息子の心理も結構な割合で出てきた。事件を通して彼らの様子がよく描かれていたこと、そしてご飯のメニューが美味しそうだったことが印象的だった。

二つ目の方は反魂香というタイトルだった。言葉から想像できるようにモチーフはオーソドックスな幽霊ものだったが、中身はちょっとラノベにしてはとっつきにっくくて重かったかな、と思う。このシリーズの世界観とか価値観を詳しく表現したかったのだろうけど、人の生き方についての重たい文章がとにかく多量で長かった。あまりの重さに途中で昔父親に読まされた路傍の石とかそういう類の文学を思い出してしまったくらいだ(トラウマ)。

救いだったのは最後の最後に種明かしのまた後で明らかになった本当の種明かしで、主人公君の特殊能力が出てきたこと。今までの話では結局のところ手品的なものだったり、科学的に解決したりしていたのが、今回は一見そのようでいて実はそうではなかったということだ。途中の長い重たい演説の連続の後で、最後は幻想的な終わり方で良かったと思う。

そして3巻目にあたる怪しい休日では、最初は学生君が結構出てきてまた二人の世界かな?と思いきや途中からは主人公君の冒険譚になる。普段は何もかも見透かして年齢不詳の子供な彼が、初めて多少年齢相応な行動に出た話だった。しかもそれに加えてこの冒険には主人公君の使役する猫が2匹出てきたのである。登場シーンは少なかったけど2匹の猫が守ってくれるなんて素晴らしすぎる。猫ババアとしては猫たちがもっと出てくる話を書いて欲しいと思ったくらいだ。

中身の方は、彼が目をキラキラさせながら冒険する姿も良かったが、この巻のタイトルにある人魚というテーマもまた私の好物で、楽しく読めた。登場人物が八百比丘尼化したくだりは、人魚の肉と浦島太郎的な雰囲気が混ざってとても良かったと思う。

最後の方はちょっとシーンがあちこちに飛んでわかりづらかったのがちょっと残念だ。主人公君の目線、学生君の目線、そして主人公君の息子目線の三つがあったから仕方なかったのだろうが。でも一番最後の、先の登場人物が何気なく現れるあたりはイイハナシダナー、というところで終わって良かった。