田舎暮らしもいろいろあるんだな
在宅勤務の進化形として、居場所にとらわれないモバイルワークというのがあるらしい。
このまえ人事関係者と話していたらホームオフィスという言い方よりモバイルワークというのいいのですよ、と言われた。
ホームオフィスとは家がオフィスになるわけで、要は家が事務所がわりになるということなのだそうだ。確かにそうだ。
リモートワークとかモバイルワークといえば場所の制限はなくなる。どこにいたっていいわけだ。
それで思い出したのが移住の話である。
将来的には移住したい、都会に住みたい、と思っている私だが、ごく最近見つけた動画チャンネルで少し視野が広がったような気がしている。
日本の田舎で、海にも山にも近いところに住む人の生活の動画で、シンプルだが丁寧な生活がなかなか美しい。色合いが好みで、お喋りがなくて字幕だけで、音楽も心地よいのでよく見ている。何となくおしゃれな雑誌のページをめくっているような感じなのだ。
田舎の暮らしがいいことばかりではないということをこの二十年以上で身に染みて感じている私が、なぜ今この動画チャンネルを見ているのか。
それは田舎と一口に言っても違うのだな、ということをひしひしと感じたからである。
今住んでいるところは旧大陸の広大な平野の一点だ。単調で安定しているが海も山もない。
海も山もないと海の幸も山の幸もない。
釣りもできないし山歩きもできない。
海や山のメリットデメリットもあるのはわかっているけれど、田舎でも面白いことがあればいいのかもしれない、と思った。それがこの動画チャンネルを熱心に見ている理由の一つだと思う。
モバイルワークという働き方が定着すれば、雇用形態がフリーランスでなくてもそのうちこんな風なところで過ごしながらも働けるんじゃないかと期待してもいる。
そして同時に、心配ばかりしないで暮らす生き方も受け入れるべきかな、というのも。
昨今の事情で、経済的な先行きの見通しはかなり不安である。今仕事があるからといってこれからいつまであるのかという保証はどこにもない。それはいつだってそうだったはずだけれど、今くらいその可能性が大きい時期はないんじゃないかと思う。今すでにかなりの資産があって、それを余裕で生活にあてられる人は別だろうが、今の生活を楽しみつつ将来にもまだまだ備えていかねばならない人間には居心地のよろしくない時代である。
この動画の主さんも多分そうだろうし、我が夫もそれに近い口らしいが、世の中にはもうちょっと余裕を見ていられる人がいるらしい。一応多少の蓄えはあるんだし、地味な生活してるんだから大丈夫だ、というような。私は潔癖症ではないけど税務署に行っても係の人に言われてしまうくらい細かいことが気になってしまうタイプらしいので、そんな風には今のところとても思えない。
でも、心配してもどうにもならない時期や環境もある。
その辺はもう少しおおらかにならないといけないんだろうなあ、と思う。でないと多分海も山も近い理想な環境であっても心配ばかりして暮らすことになるだろうからだ。