マンガの感想・スーパーのお兄さん①
毎回無料配信を読んでいるけれど、単行本化したと聞いて(なぜか今まで知らなかった)単行本を購入した。
ちょっとネタバレありです。
父親の気まぐれから地元のスーパーの経営を継がされてしまったみっちゃん。
心構えもできておらず、頼る人もほぼいない、という厳しい環境の中で試行錯誤しながらスーパーのやりくりをしていくというのが大体のお話である。
でも桃太郎みたいに少しずつ周りを囲んでくれる人ができてきて(助けてくれるというわけでもないみたいなのがミソ)、みっちゃん自身もなんとなく自分の役目を自覚していく。
まあしかしその苦労話的なものが面白いのではなくて(当然ながら)、濃すぎるキャラの人々が、ごくごく一般の地元の大部分の人たちと極端なコントラストを醸し出しているのが面白いのである。宇宙人キャラ的な幼なじみ、筋を通しているがダチョウ以外に見えていない先輩、店長の補佐をしているようで実は暗黒キャラに見える副店長、そして私が大好きな薬局のお兄さん。彼らの強すぎる個性がみっちゃんの地味で普通な感覚を常に打撃するのがかわいそうだけど面白い。
特に薬局のお兄さんは神々しく美しく、そしてそれを十分に自覚した超ナルシストでしかもスーパーの女性客たちから熱烈に支持されている。この1巻には私の大好きな話である、トレーディングカードの話とマスクの話が収録されていて、殊に茨のトレーディングカードは電子書籍購入者に特典にして欲しかったくらいだ。
話の方は大体単体で完結するようなものが多いが、元同級生が取引先としてやってきて再会した話の後、1巻の最後の話では彼女から聞いたある人のことがみっちゃんの心にひっかかってくる、というつながりもある。普段はそんな悩みなどなさそうなのだけど、本当は思春期をちょっと過ぎたばかりの少年なんだよな、とおばさんもちょっとしみじみ思ってしまった。