きぬかつぎ

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小説の感想・地獄くらやみ花もなき

シリーズ購読で美青年探偵物枠の補充ということで買った作品。

仕事帰りから夕飯後にかけて一気に読み終えた。

ちょっとネタバレありです。

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八雲くんシリーズが基本的に光を見出そうとしてる一方で、このシリーズはどうやら本当にタイトルの通り地獄の闇を覗き込んでいるようである。地獄の闇を覗き込むとそこにある白い顔の暗い瞳がこっちを見返してくる、みたいな感じだ。例の名一節を思い出してしまった。

基本的にどの話も救いはない。悪いことをしても悔い改めれば、などということは起きない。当然の報いが確実に訪れるだけである。まあ考えてみれば皓のところにたどり着いた時点でそういう条件を満たしているのだから当たり前である。よくあるドラマだとそういう場合でも奇跡が起きたりするのだが、ここでは起きない決まりになっているみたいだ。

最終話では、実質ちょっとおまけというか多めに見てもらったというか、物理的には少しばかり救いがあったことになっている。皓が主人公青年に情が移り始めた表れのようだ。ただ、青年がこの後払う救いの代償を考えると、これもまた相応の報いがきたと言える。

と書き出してみるとかなり暗くて読むのも辛いような感じになるが、主人公青年のぼんやり加減と皓の妖艶さが暗いだけじゃない雰囲気を演出していて暗すぎることはない。2人のコミカルなやりとりも楽しめる。八雲くん枠には入らないようだけど次巻も買っちゃおうかな、と思ったのであった。