きぬかつぎ

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マンガの感想・白暮のクロニクル全11巻

出た時に買って読んでいたのだが、最近再読してまた感動したので感想を書くことにした。

 

私好みのヴァンパイアもの、ミステリー、そしてゆうき先生の作品、ということでもう期待は絶対裏切らないであろうと思っていたわけだが。

実際に期待以上に楽しめた作品であった。

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作品は全部で11巻で、1つの出来事にまつわるいくつかの出来事に関しての謎を解明していく。個々の事件や出来事もおおっ?と思うのだが最後に真相の真相が判明するとああそうだったのか、とまたしみじみ感動できる。

そしてミステリーの部分とは別に、パソコンやスマホの時代に長命族として暮らしていくことの苦悩も考えさせてくれる。いくら雑踏の中といっても暮らしていくには隣人がいたり、日々側で自分を見ている人たちがいる。彼らとの温度差を感じながら暮らしていくと時間を重ねるごとに辛くなっていくのだろうな、と思う。

それでも飄々としている(あるいはしようとしている)人もいて、和んでしまうシーンもある。私が好きなのはあかりが検査に行くよう催促に訪れる何人かのオキナガたちの話だ。特にあかりが自分の上司の元部下だったという人を飲みに誘っていろいろ聞き出す話は、本当は重いんだけど彼の明るさというか素直さがそれを和らげていて和めるし結構面白いところもある。面白いといえば係長もかなりシニカルで面白い。特にリンスのくだりとか。

逆に哀しいと思ったのはうら若い少女のうちに成り上がった女性の話だ。結局のところ、子供のうちにオキナガになってしまうと永遠に大人にはなれない。だから大人の状態を保てるオキナガに比べるとはるかに条件が厳しいわけだ。そしてどうやらその運命を彼女に与えたのは中心人物の青年をオキナガにしたあの御仁だったらしいという。

こうなってくると彼がいわゆる真祖なのかな?などと思ったりするのだがその辺については残念ながら作品中には出てこない。できればスピンアウトで彼の物語も書いていただけるといいなあと思う。規模から考えると彼が唯一の真祖であるという可能性はないと思うが、中でもかなり長い時間を生きているらしい彼自身がオキナガになった経緯を紹介してくれたらなあ、などと。