きぬかつぎ

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マンガの感想・トリマニア第2〜5巻

面倒臭い人間模様をドライに描く作品、というようなことを第1巻を読んだ時の感想で書いた。

最近第5巻が出たので2巻からまとめて買って読んでそれがあくまで最初の方だけのことであることがわかった。

ちょっとネタバレありです。

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拗れた3人模様とすれ違ってばかりの2人の話ばかりだと思ったらどっこい。

5巻まで来るともう話がだいぶ広がっていた。

一応まだ物語のほぼ中枢にあるのかなと思われる3人模様は実質的な発展こそないが内的・外的両方のきっかけから少しずつ動き出している。でも3という数字がどうしても2プラス1にしかならない。だからこの先1になる人物のこと、それをこれからずっと背負って行かねばならないであろう2人のことを考えるとちょっと気が重くなる。できれば1になる人が他の誰かをふと見つけてくれればなあ、と思う。

すれ違ってばかりの2人は片方が事実を無視しっぱなし、もう片方は考えすぎでもっと強気に出られないでいるのがもどかしい。でも彼女の方も彼が見知らぬ女子高生に偶然迫られているところを見たら嫉妬したりしているから、自分の気持ちを認めたくないだけなのかもしれない。全く何とも思っていなかったらあんな風に腹を立てたりしないだろうから。ちょっと将来の展望が明るくなるのかな、と思えたのは彼の方がとっさに羽を出して子供を助けた時。彼女の方も何気にキュンとなっていたみたいだし私もキュンとしたし、子供の両親は子供をあやす2人が番いとしていい感じに見えたようだ。一応主人公のカップルなんだし、いろいろあってもいいから最後にはこんな風にくっついてほしいなあと思った。

そして何よりびっくりしたのが予想外にあっという間にくっついてしまった妹女子高生と大学一年の小鳥くん。何も考えていない女子高生とおちゃらけているだけの大学一年生の青年が、実はそれなりに自分のことも相手のことも中身をちゃんと見て理解しようとし、そして飾ることなく素直に自分の気持ちを伝えられたのだった。理不尽なバイト先のおばさんに嫌なことを言われた時、キリッと言い返した彼がものすごく眩しかった。この2人だけは全然面倒臭くない。

次に驚いたのが学生生活最終期の憂鬱と恐怖におののく美学生の周囲。性格も体格も全く正反対の小鳥の女学生に気にされているばかりでなく、実はものすごくミステリアスなモデルの女性がいたというのでびっくりした。小鳥の女学生が覗き見してしまった作品の数々を見る限りでは、そのモデルの女性の描かれ方がかなり特別な感じだったようだ。その女性は小鳥の女学生と愛を探し求める女子高生の前にも現れたけど、この先の展開をさらに複雑にするような雰囲気だった。

鳥属性が所々にさらりと出てくるのでコメディのようでいて、実は全然泣けるようなエピソードも割とあった。個人的に泣けてしまうのはカラスの家の既に他界したお母さんに関連したエピソードと、猫の下僕としては当然のこととしてカモメと猫の話いろいろ。猫はちょい役なのかと思っていたが実は全然そうではなかった気がする。

この先さらにいろいろこじれていくのがドキドキワクワクするのでこのシリーズはこの先も買いである。