小説の感想・丸の内で就職したら、幽霊物件担当でした。7
毎回のことだが、また深夜に読んでしまった。暑いのに布団を被って、猫たちのこそこそ歩き回る足音に怯えながら。
ちょっとネタバレありです。
今回もまた震え上がらせてくれた一冊だった。
一つ目の事件はまあそうでもなかった、とちょっと強気で言えるかもしれない。
得体が全く知れないものだと何なの?という疑問も強く湧いてくるのでそれが恐怖心を少しだけ逸らしてくれる気がする。そういった類の事件だったと思う。
今回登場した人物はちょっとうざすぎたけれども。でも実際のところ、怪異現象に対して思いっきり無視を決め込む人、懐疑的な人の方がこの人みたいなタイプよりよっぽど扱いやすいと思う。
二つ目の事件は、怖かった。
こういう設定の場所も苦手だし起こったことも苦手だ。子供の頃に怖い話を読んでしまい眠れなくて親のところに行くのだが、親は寝ていて、寝顔を見ると安心するどころか突然目をかっと見開いて怪異になってしまうんじゃないかとか、想像力が入道雲状態になったことを思い出す。怖くて親を起こしたらめっちゃ叱られた(当たり前だ)ことも。負けずに頑張った澪はすごく偉いと思う。さすが霊能者。。
変わって三つ目は怖いというよりちょっとほっこりするような事情だった事件だ。いわゆる人情ものにちょっと近い感じだ。そして怪異現象そのものより澪と次郎の間の方がフィーチャーされていた。どちらも素直に向き合って認めようとしないけれど、実はもうすごくわかり合っちゃってるじゃん、とくすぐったくなる。
人間たちはそんな感じで新入り登場人物も交えて安定のチームができているようなのだが、最後の最後に幽霊犬マメの様子がおかしいところで終わっているのが結構ショックだ。何が起こっているのか、それはマメのせいなのかそれとも他に何かあるのか、それは明かされないままで終わる。猫ババアといえども犬だって好きだから、せっかく馴染んできたマメがどうにかなっちゃう、ということだけは避けて欲しいなあと思う。