きぬかつぎ

マンガ、小説、アニメ、ゲーム、音楽、酒、食、旅、仮想通貨取引や猫と日常生活のこと。

 

週末に電子書店の立ち読み機能で何気なく読み始めたら止まらなくなって3巻全部即買いしてしまった。

いろんな意味でキュンとしてしまった作品であった。

ネタバレ注意です。

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最初題名だけ見たときは、お嬢様探偵が出て来る某短編シリーズみたいなものかな、と想像していたのだが、開いて見たら本の虫の少女のお話だった。

まずこれで一気に高得点。なぜかというと自分も太古にはかなりの本の虫少女だったからである。よく長編やシリーズ物で長時間粘って、読了後の顔を母親に見られてまた本の読みすぎでボーッとなってるわよ、とたしなめられたものだ。だからこの少女には即親近感が湧いたのであった。

その少女の何気ない日常生活のお話だけだったらちょっといいお話で終わっていたと思うが、この作品はそうではない。酷な話も出て来るミステリーで、しかも遠縁のイケメンお兄さんが出て来る。ちょっと前に読んだホームズさんとちょっと似た部分のある、イケメンお坊ちゃん優男ニートである(とは作品中にはどこにも書いていないけど自分にはそうとしか見えなかった)。元は若い作家だったが、暗い経緯ゆえに書くことができなくなってしまった、憂いのあるイケメン。そこもかなりの得点を追加した。

そしてストーリーはこのような特殊な趣味体質の二人が時間を共にするようになってからどんどん惹かれあって行くという展開。年の差が9歳もあるのだが、二人にとっての本という存在が極端に大きいので違和感を上手くカバーしている。年の差があまりあるのが個人的に苦手な私でも、こんな人が自分の少女時代にいたらよかったのに、とさえ思ってしまったくらいである。どんどん相手が大事な存在になって行くことに気づく瞬間の一つ一つにいちいちキュンキュンしてしまった。これも高得点要因。

さらに、(ちらし寿司の表面に散らばるイクラの粒的な)ハイライトとして、少女を気に入ってそばにいてほしいと言い出した某氏に対し静かにすごんで見せたり、中学生のデート並みにチケットをわざわざ用意しておきながらさりげなく福引きに当たったから旅行に行こうと言ったり、幾つもの場面で自分の本音をはらりと出してしまうイケメンニート君の様子もまたかなりキュンときた。

できれば続シリーズも出してもらいたい、とまで思った作品であった。