ピーター卿シリーズといえば
(過去分の再投稿)
この前ホームズさんを読んでピーター卿のシリーズを思い出し、それで思い出したのが「学寮祭の夜」。
ピーター卿の話は推理物としては実はハリエットが出てこない方が好きなのだけど、ハリエットが出てくるならこの作品が一番好きだ。
さっさと素直になればいいものをなかなかなれずに理屈だの建前だのをこねくりまわし、いい加減疲れたところでようやくゴールインできる、という流れが読んでいてとてもじわじわくる。
もっとも、恋愛ものというかイケメン登場小説の山場としては、ウィムジィ卿の甥っ子さんとの件なんかも読んでいてちょっとクラっとして楽しい。ハリエットがかなり年上の言わばおばさんでありながら彼にかなり好かれるところなんかは、おばさんとしてはせっかく小説なんだからこういうシーンがあるのはいいことだ、などと頷いたりしてしまう。おばさんといっても彼女はそんなに年食ってるわけでもないにしても、だ。
でも所謂シンデレラストーリーというのは本当はそんなに好きではない。名家に嫁ぐのはすごく大変だろうというものすごく現実的な予想で息が詰まりそうになる。毎日から四季の行事までしきたりを一から勉強してこなしていくなんてごめんだわーというところだ。ピーター卿みたいな人に知り合えなかったおばさんの僻みである。