きぬかつぎ

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小説の感想・地獄くらやみ花もなき 蛇喰らう宿

この前買った地獄くらやみ花もなきの3作目を読んだ。

ちょっとネタバレありです。

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もう直ぐ4作目が発売になるこのシリーズ、ペットである青児がどんどん頼もしくなっていて読んでいてなかなか爽快だった。

今回の題材というか、蛇そのものを扱ったのはいいがこんな風なのは蛇が嫌いでない私にとってはちょっと読みにくかった。それから犬を飼っているわけではないが犬が嫌いではない私にとっても後半はちょっと辛かった。

でも、事件そのものとは別に皓のこと、荊のこと、棘のことがいろいろわかってなかなか充実していたと思う。

蛇喰らう宿ではいつもの調子でとある宿を訪れた二人がまんまと罠に引っかかってしまうような形になる話であった。ドラマ自体はいつものように重く哀しい。美しく生まれたが環境に恵まれず不幸な時期を過ごした女が偶然にも醜く生まれた少女の家に後家として嫁ぎ、少女に愛されたがために悲劇に利用されてしまう。最初皓は簡単に予想を立てたけれど、事実はそんなものではなかった。それでも、金魚が微妙に多めに登場したので皓はそれできっと何か準備を整えているに違いない、とは思っていたけれど、最後まで確信が湧かなかった。最後の種明かし?を堪能することができた。

その後に続く犬の話では、棘が実はいいやつなんじゃね?という気がしてきたのが面白かった。最初は訪れた青児を邪険に扱うのだが、都合よく篁さんが介入して悪役はそれまで。棘は無理やりながら青児を助手のように扱わねばならなくなってしまう。そこでいくら上からの命令とは言え、卑劣なやり方を徹底せずにくしゃみをした青児にすぐバスタオルを投げるくらいの紳士的というか普通の人っぽい反応をした棘に、今回は見直したというよりちょっと好感まで抱いてしまった。まあそれには、最後の方で荊にひどい扱いを受けたせいもあるにはあるが。

しかし一番ドキドキしたのは最後の最後であった。今まで一度も本人たちが登場したことはないが重要な役割を果たしていた二人の人物の身に一大事が起きたらしいということ。もしそれが本当なら皓はどうなるのか?そして荊と棘は?それに青児は?と考えだすと気になって仕方ない。幸いもう直ぐ4作目が出るのでそれまでの辛抱である。