きぬかつぎ

マンガ、小説、アニメ、ゲーム、音楽、酒、食、旅、仮想通貨取引や猫と日常生活のこと。

どこでもいいというわけじゃない

ここで書いてしまうと人気が出て、家賃や分譲価格が上がってしまうと困るのだが、それでもあえて書いてみることにする。

私が住んでみたいと思う街は東京の神保町である。

東京出身ではあったが神保町を初めて訪れたのは社会人になってからだった。子供の頃は銀座の大ファンであった両親に連れられ週末はよく銀座へ行っていたけれど、他の街に行くことは稀だった。何かの用事のついでに新宿や渋谷などに行くことはあったけれど、神保町というのは名前しかほとんど知らなかった。

初めて自分の用事で神保町を訪れたときは、こんなに素敵な場所があったのか、と愕然としたものである。誇張ではなく本当の気持ちだ。渋い外観の小ぶりな店先がずらりと並んでいるところに趣を感じるし、行き交う人たちの多くが落ち着いている雰囲気も好きだ。自分と同じ趣味の人ばかりではないけれど、本が好きという共通点があるだけで勝手に連帯感を覚えそうにさえなる。

本屋という、どこの街にも一軒は必ずある日常の一部であるはずのものが、これだけ集まると非日常的な空間を作り出してしまっている、という事実が面白い。そして似たように見える店の一軒ずつが、実は全く違うジャンルの本を扱っていたりするから驚きだ。

そんな非日常の中に住めたら、本来は退屈なはずの平日の暮らしも違ったものに見えそうである。外見ではない、内面的に刺激的な毎日が遅れるのではないかなどと考えてしまう。本というのは背表紙を眺めているだけで中身がどうなっているのか気になってしまうから、それまで興味のなかった分野のことも、眺めているうちに知りたくなってしまったりする。そうして未知の分野の本を読み始めるとどんどん深淵にはまってしまい、また一つ追い続けねばならない分野ができてしまったりしそうだ。よく考えてみるとちょっと恐ろしいことかも知れない。

非日常的と言えば、神保町にはもう一つ、非日常的な利点がある。

それは秋葉原まで近いことである。

秋葉原もまた神保町とは違った意味で現実離れした店が並ぶ。本も好きだがアニメもゲームも好きな私にはもう一つの楽園があると言っても過言ではない。神保町にやってくると必ず秋葉原にも寄ってしまうし、その逆もまた然りである。神保町に住めば二つの楽園を毎日堪能できてしまうのも魅力だ。

神保町と秋葉原の間を、御茶ノ水を通って徒歩で約半時間の道のりを歩くのもまたほどよく楽しい。御茶ノ水では毎回ちょっとだけ学生気分を思い出したりする。

将来的には田舎から街へ移住したい、と思っている私だが、街ならどこでもいいというわけじゃない。毎日新鮮な驚きがある方がいい。神保町はそんな街ではないかなと思っている。

書籍化記念! SUUMOタウン特別お題キャンペーン #住みたい街、住みたかった街

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by リクルート住まいカンパニー